鉄工所の三代目がもがくblog

鉄工の仕事の話はほぼ出てこない

諸々込みで一千万円弱の3Dスキャナで文化財を計測した話

今回は地元の文化財の計測という事で神社の彫刻を3Dスキャンして参りました。
建屋全体もFocusで計測してモデリングしたのですがそれは又の機会に。

機材紹介 Handyscan 700

今回使用した機材はHandyscan 700というハンディタイプのスキャナです。
このスキャナは指定したPCでないと動作を保証しないとの事でウン十万するモバイルワークステーション(強制)やら保守(強制)消費税(8%)やら乗せられてトータル一千万円弱という代物です。
以後お見知りおきを。

サラッと長短合わせて特徴も紹介しておきます。
・テクスチャは取得できない
・ポジションマーカー必須
・レーザーを乱反射したり吸収する素材は苦手(粉末スプレーなどをかけて対処)
・入り組んだところは苦手(各種スキャナの共通の悩み。X線系は得意なようです。)

・他機種と比べ解像度が高い
・価格が高い
だいたい短所でした。
しかしそれを補うほどの高解像度が採用の決め手となりました。
ちなみに機種名+サンプルで画像検索かけるとうちの画像が上位10件中5件という情報の少なさも特徴。

計測対象

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今回の対象は鳳凰の木製彫刻です。かなり彫り込んでます。
文化財であればテクスチャを取得できる機種の方がデータとしての見栄えは良いのですが
今回は紛失に備えた形状の保存とのことですので本機種の得意分野となります。

 

計測準備

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計測の前に5cm程度の間隔で三角形を作るようにポジションマーカーを貼っていく必要があります。
全体にマーカーを貼った写真を撮っていなかったのでこんな写真しかありませんが、こんな感じでビッシリと貼っていきます。
スキャナはこのマーカーを基準に位置をあわせていくので全てのマーカーが連続していなければ全体を1つのデータとして計測することができなくなります。
このあたりは対象の形状を認識して位置合わせしていくタイプの方が手軽です。

計測結果

そしてマーカー貼りも含めて2時間かけて計測した結果がこちら。

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木目まで綺麗に拾っています。
解像度が低いスキャナでは潰れがちな細かい造りもこの通り。
一塊の木材で構成されています。完全にオーパーツ

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ただし、後ろは壁だったので見えない部分は当然ながら取れていません。

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このスキャナで計測したデータは3Dプリンタで出力することができますが、プリントするためには完全に閉じたデータにする必要があります。
小さな穴はソフトでワンタッチで埋めることもできますが、ここまで大きなものは追加モデリングが必要になってきます。

ちなみに

このデータを3Dプリントしてみました。

thethird.hatenablog.com